薬剤師とは
薬剤師とは、ざっくり説明すると医薬品の調剤、製剤作業、服薬説明、薬歴管理、注射剤の調剤を行う職業です。
近頃は高齢化社会になり、調剤併設のドラッグストアの店舗数も増えると共に薬剤師の活躍の場も広がりつつあります。
↓薬剤師について基本情報が知りたい方はこちら


薬剤師になるまでの流れ


薬剤師になるには、先ずはじめに大学の薬学部か薬科大学に設置されている6年制の薬剤師養成課程を修了して、薬剤師国家試験の受験資格を取得する事が必要です。
薬剤師を目指すにあたって
- 短期大学
- 専門学校
- 大学の夜間部(第二部)
- 独学
- 通信講座
などの道は一切なく、上記の道のみです。
最近では6年制という長い教育期間により途中で学校をやめてしまう人も多く、一つの課題となっているようで、誰でも簡単に入学、修了できる教育機関ではありません。軽い気持ちで薬剤師への第一歩を踏み入れるのは高額な費用が掛ることを考えても慎重になるべきです。
その狭く険しい道を乗り越え無事に大学を修了できれば、いよいよ国家試験。
薬剤師はより幅広い分野において、臨床に関わる実践的な能力が求められており、そうした期待にこたえるため国家試験では、基本的な知識などのほか、薬学全般にわたる一般的な理論や、医療を中心とした実践の場において必要とされる知識・技能・態度などが問われます。
最近の薬剤師国家試験の合格率は減少傾向ですが、それでも約7割で比較的高い割合で合格者が出ています。
試験後、無事合格できれば厚生労働省に薬剤師登録し、免許交付となります。
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薬剤師を目指すための大学について


上述でも述べたように薬剤師国家試験を受験資格取得するには、大学の薬学部(6年制)もしくは薬科大学の薬剤師養成課程(6年制)の修了が必須なので、まずは大学に入学する事が薬剤師を目指す上での第一歩となります。
そのためにも薬剤師を目指すための大学について、しっかりと調べておくことは非常に大切です。
国公立大学と私立大学のメリット・デメリット
国公立大学のメリット・デメリット
メリット
- 私立と比べて3分の1から4分の1、学費が安い
- 薬学部の生徒数は1桁〜2桁なので馴染みやすい
- 国立大学は総合大学でもあるので、多様な学科の人とも交流する事ができる
- 研究施設・研究内容が充実している
デメリット
- 入学試験の難易度がかなり高い
- 定員が少ない
費用の面では、かなりのメリットがあるが、入学試験に合格するには高い学力が必要です。
学力の高い生徒が多いので比例して国家試験の合格率は高いですが、国公立大学は6年制の学部の定員が少ないため、私立と比べ国家試験受験資格は取得しにくいです。
私立大学のメリット・デメリット
メリット
- 国公立に比べれば入学試験の難易度が低い
- 定員が多い
- ほとんど6年制なので国家試験の受験資格を取得しやすい
デメリット
- 学費が非常に高額。6年間の学費は1200万円超
- 進級に厳しい基準を設けている学校もあり留年の可能性がある
私立大学の学費は6年間で1200万円超える学校が殆どで高級車1台買えるぐらい高額なので、お金の計画は慎重に立て、高額な学費がさらに上乗せされないよう留年だけは避けましょう。
学費が高額な分、薬剤師に向けた教育を専門的に受ける事ができ、殆どの大学が6年制ですので国家試験の受験資格も取得しやすいです。
薬剤師を目指すための大学選び 3つのポイント
それでは私立・国公立のメリット・デメリットを踏まえた上で次は



大学選びの基準がサッパリ分からないよ。
と迷う人のために薬剤師を目指すための的確な大学を選ぶ際の基準となるポイントを
- 学費
- 進学と就職率
- 薬剤師国家試験合格率
の3つに分けて紹介します。
大学選びのポイント①【学費】
薬学部は私立、公立共に最低でも6年間は通わなければならないので、6年分の学費がいくらになるのか、はじめにきちんと計算をして知っておきましょう。
薬学部は私立大学であれば、現在はほとんど学費の差はありません。
私立のデメリットでも紹介したように、私立大学の薬学部は年間平均200万円かかり、6年間通うので卒業までに最低でも1200万円はかかることになります。
そんな中、公立大学なら年間の学費は数十万円です。
学費を安く抑えることを第一に考えるならば、間違いなく公立を選ぶべきです。
大学選びのポイント②【進学と就職率】
薬剤師になるのはあくまで通過地点であり、それ自体はゴールではありません。なるべく自分の未来に近い大学を選ぶことをおすすめします。
せっかく選んだ大学で『自分が望む職種の就職率が悪い』なんてことになると、本来自分が希望する職に就くことは難しくなってしまうかもしれません。
病院に先輩が多く就職している大学であれば、病院に就職しやすいと言えます。薬局やドラッグストアへの就職率が高い大学であれば、やはりその方面での就職は有利になります。
どんな大学にも得手不得手が存在しています。
自分が薬剤師として、どんな進路を希望するのか、大体で良いので一度考えてみましょう。
大学選びのポイント③【薬剤師国家試験合格率】
合格率の低い大学を選んでしまうと、国家試験に合格するのが難しくなってしまうことは言うまでもありません。
合格率は大学が公表している合格率だけではなく、厚生労働省が発表している大学別合格者数等の資料も確認しましょう。
※参考: 第100回薬剤師国家試験の結果について (厚生労働省)
そんな中、私立大学は国家試験の対策がしっかり行われる大学が多いのが特徴です。
大学での授業だけではなく、予備校の講師を招いての授業も行われることがあります。学費が高い分、サポートが充実していると言えます。
国・公立大学では国家試験の間近まで研究室で研究を行っているというところも多く、国家試験については自分で時間をとって対策をしなければならないため、国家試験の時期は大変だったという声もあります。
- 薬剤師国家試験合格を重視するなら、私立大学
- 研究をしたいなら、国・公立大学
という考え方もできますね。
薬剤師国家試験について


6年間の大学生活を無事に修了する事ができれば薬剤師国家試験の受験資格を取得する事ができます。
受験要項はこちら。
<受験要項>
項 目 | 概 要 |
---|---|
受験科目 | 薬学理論・化学など(下記参考) |
出題形式 | マークシート方式、全345問 |
受験資格 | 所定の6年制薬学部を卒業する(見込み) |
試験地 | 北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県 大阪府、広島県、徳島県、福岡県 |
試験日 | 2月下旬の土・日曜日の2日間 |
合格発表 | 3月末 |
受験料 | 6,800円 |
薬剤師国家試験の内容


試験は土曜日、日曜日の2日間で行います。
必須問題90問(90分)、一般問題(薬学理論問題)60問(150分)、一般問題(薬学理論問題)45問(115分)で構成されています。
一般問題(薬学理論問題)50問(125分)、一般問題(薬学理論問題)40問(100分)、一般問題(薬学理論問題)60問(150分)で構成されています。
問題数は全345問あり、配点は1問2点で計690点満点です。試験は長時間になるので体調を万全に整えて当日を迎えましょう。
各科目においての問題数は下記の表を参考にしてください。↓
科目 | 必須問題 | 薬学理論 | 薬学実践 | 出題数 |
---|---|---|---|---|
物理・化学・生物 | 15問 | 30問 | 15問 | 60問 |
衛生 | 10問 | 20問 | 10問 | 40問 |
薬理 | 15問 | 15問 | 10問 | 40問 |
薬剤 | 15問 | 15問 | 10問 | 40問 |
病態・薬物治療 | 15問 | 15問 | 10問 | 40問 |
法規・制度・倫理 | 10問 | 10問 | 10問 | 10問 |
実務 | 10問 | – | 85問 | 95問 |
合計 | 90問 | 105問 | 150問 | 345問 |
薬剤師国家試験の合格基準
- 問題の難易を補正して得た総得点について、平均点と標準偏差を用いた相対基準により設定した得点以上であること。
- 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上であること
- 一定数誤答した場合に即座に不合格になる選択肢。即ち禁忌肢問題選択数が定められており、その問題の誤答は2問以下に抑えること。
薬剤師国家試験の合格率
薬剤師国家試験の合格率はここ5年間減少傾向にあり、「今年の問題は難しかった」と過去問と比較して口にする人もいるようです。
2020年に行われた試験の合格率は69.58%となりました。
過去5年間では初めて70%を切り、少しずつ薬剤師へのハードルが上がってきている様に感じます。
薬剤師国家試験合格してからの流れ


step1:薬剤師国家試験合格証書のハガキが届いているか確認、保管
合格者に対しては「薬剤師国家試験合格証書」が、合格発表日に発送されます。
この合格証書は、薬剤師免許申請に必要な書類なので大切に保管してください。
謝って紛失や破ってしまった場合は再発行の申請が可能ですが、別途手数料が発生してしまいます。
合格したにも関わらず、発表日から2週間以上経っても届かない場合は厚生労働省へ問い合わせて下さい。
その際は、必ず本人が電話で問い合わせる事になっているのでご注意ください。
step2:薬剤師免許の申請に必要な書類を揃える
国家試験に合格しても、厚生労働省が管理している「薬剤師名簿」に登録がなければ、薬剤師として業務することは出来ません。
申請に向けて、まずは薬剤師免許の申請に必要な書類を揃えましょう。
①薬剤師免許申請書
②診断書(発行日翌日から起算して1月以内のもの)
③戸籍抄(謄)本または住民票の写しまたは住民票記載事項証明書
・発行日翌日から起算して6月以内のもの
・住民票の写しまたは住民票記載事項証明書の場合は、本籍地都道府県の記載が必要
④登録済証明書用はがき(登録済証明書が必要な方のみ)
詳しくは厚生労働省薬剤師免許の申請手続き等についてをご覧ください。
step3:薬剤師免許の申請を行う
薬剤師免許の申請は、最寄りの保健所や都道府県庁で行うことが出来ます。
薬剤師免許申請受付は都道府県によって異なりますので、厚生労働省 都道府県別薬剤師免許申請受付窓口一覧から確認して下さい。
step4:薬剤師名簿に登録後に免許証を受け取る
申請書類は、保健所または都道府県庁から厚生労働省に送られ、書面審査後に薬剤師名簿に登録されます。
登録後に、免許証が厚生労働省から都道府県庁へまとめて発送されるので、申請した窓口で受け取りましょう。
通常、申請してから交付までは約4ヶ月(最長5ヶ月)かかります。
(申請から名簿登録が約2ヶ月+薬剤師名簿登録から交付までが約2ヶ月)
薬剤師名簿登録から免許証交付まで約2ヶ月と期間を要するため、希望者には「登録済証明書」が発行されます。
登録済証明書は薬剤師名簿登録日に発送するため、名簿に登録されたことをすぐに証明することが出来ます。
必要な方は、免許申請書類を提出する際に追加で提出書類がありますので別途申告して下さい。
まとめ
薬は人間が創造してきた物の中、最も画期的な発明の一つです。
処方してもらうと魔法の様に今まで悩んみ苦しんでいた病が治ってしまいます。しかし、その効力とは裏腹に間違った判断をしてしまうと命に関わる大きな事故に繋がってしまう可能性もあります。
その重大で責任の思い仕事を任されているのが今回紹介した薬剤師です。
薬剤師になれば、そんな重大な責任を背負う事になるからこそ、多くの人に健康の喜びと安心を届ける事ができるやりがい豊富な素晴らしい職業です。
ひとりでも多くの薬剤師を目指す人達の力になれたらと思い記事を書きました。よければ参考にしてください。
皆さんのご活躍切に願います。
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